曲目
ベートーヴェン:アダージョ・カンタービレ(「悲愴」第2楽章)
(F.タレガ編曲)
解説
〈アランブラの想い出〉の作曲者として有名なフランシスコ・タレガ(Francisco Tarrega 1852 - 1909)は数々の作曲作品を残したが、また数多くの編曲も行なった。アルベニスやバッハの編曲は有名だが、あまり知られていない編曲作品も多い。ここではそうしたタレガの編曲作品を紹介していきたい。そこにはギターという楽器の表現力を追求するとともに、ピアノ等にも伍する楽器としての地位を高めたいというタレガの想いが見て取れるだろう。
この〈アダージョ・カンタービレ〉の原曲は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」の第2楽章。その美しい旋律はメロディー・メーカーとしてのベートーヴェンの面目躍如といった感で、ビリー・ジョエルが〈This Night〉でそのメロディーを用いるなど、ジャンル、世代を問わず愛される名旋律である。タレガの編曲はほぼ原曲に忠実なもので、難易度は高め。3小節2拍ウラの和音など押さえが困難な箇所もあり、9〜16小節、59〜66小節のオクターブ・ハーモニクスも演奏が難しいが、適宜取捨選択して対応してほしい。
楽譜はベルベン社の「タレガ・ギター作品集第4巻(編曲作品集)」(E.1534B.)を元に、表記上の問題点などは適宜修正を施し、セーハ記号等は現代的な表記に改めた。使用者の便宜のため、「タブ譜無し」「タブ譜付き」それぞれを用意した。好みに合わせて使用していただきたい。