曲目
イサーク・アルベニス:パバーナ・カプリーチョ
(F.タレガ編曲)
解説
〈アランブラの想い出〉の作曲者として有名なフランシスコ・タレガ(Francisco Tarrega 1852 - 1909)は数々の作曲作品を残したが、また数多くの編曲も行なった。アルベニスやバッハの編曲は有名だが、あまり知られていない編曲作品も多い。ここではそうしたタレガの編曲作品を紹介していきたい。そこにはギターという楽器の表現力を追求するとともに、ピアノ等にも伍する楽器としての地位を高めたいというタレガの想いが見て取れるだろう。
イサーク・アルベニス(1860 – 1909)は〈セビーリャ〉〈アストゥリアス〉といった民俗色豊かな作品がよく知られているが、この〈パバーナ・カプリーチョ〉は比較的初期の作品で、1882年作曲(出版は1884年)のピアノ曲。サロン風のリリカルな小品で、高音域で繰り返されるテーマはオルゴールを思わせる。原曲はホ短調だが、タレガはニ短調に移している。原曲に比べタレガ編は繰り返しを省略するなど、簡素な構成に変更している(楽譜末の注記参照)。アルベニスのまた違った側面をギターでもお楽しみください。(参考文献:『アルベニス 生涯と作品』上原由記音・著、音楽之友社2025年)
楽譜はベルベン社の「タレガ・ギター作品集第4巻(編曲作品集)」(E.1534B.)を元に、表記上の問題点などは適宜修正を施し、セーハ記号等は現代的な表記に改めた。使用者の便宜のため、「タブ譜無し」「タブ譜付き」それぞれを用意した。好みに合わせて使用していただきたい。